• 2022.08.10
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ジョブ型雇用をメンバーシップ型と比較|メリット・デメリット、移行作業で人事が対応すべきこと

ジョブ型雇用とは? メンバーシップ型との違い、誤解、メリット・デメリット、事例、効果、移行作業で人事が対応すべきこと

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ジョブ型雇用とは、職務に求められるスキルや経験を持っている人材を採用する雇用方法です。リモートワークの普及などビジネス環境の変化に伴って、働き方に対する考え方も変わり、ジョブ型雇用へ移行を検討する企業が増えています。

当記事ではジョブ型雇用の基礎知識や、これまで主流だったメンバーシップ型雇用との違い、メリット・デメリット、移行によって人事が対応すべきことを解説します。

目次(タップして開閉)

ジョブ型雇用とは

ジョブ型雇用とは、企業において必要なジョブディスクリプション(職務記述書)のもとに雇用されるシステムです。業務内容をはじめ、責任範囲や必要なスキル以外にも、勤務時間や勤務場所などを明確にしたうえで雇用されるため、ほかの部門への異動などは基本的にありません。また、昇格や降格も基本的にはないことも特徴です。

ジョブ型雇用・注目の背景

近年耳にすることが増えたジョブ型雇用。なぜ注目が高まっているのでしょうか。

転職市場の活性化

ジョブ型雇用が注目されるようになった背景には、「転職市場の活性化」が挙げられます。従来の終身雇用制度は崩壊しつつあり、新卒入社から定年までを一つの会社で勤め上げることは少なくなりまし

つまり企業は優秀な人材を自社に長期間とどめておくことが難しくなったともいえます。これまでは新卒で一括採用し、自社が必要とする人材へと育成することが主流でした。しかし近年ではそれが難しくなったため、必要なスキルを最初から保有している人材を雇用することで、生産性を担保する必要が出てきました。このような理由から、ジョブ型雇用に注目する企業が増えています。

働き方への意識の変化

人々の「働き方への意識の変化」もジョブ型雇用が注目される理由の一つといえます。時代とともに、従業員は「会社のために働く」のではなく、「職務に対して労働力を提供する」という意識に変化している傾向にあります。

リモートワークの導入など多様な働き方が推奨されるようになった今、ジョブ型雇用はワークライフバランスを取りやすい雇用制度という側面があるため、多くの企業が取り入れようとしています。

メンバーシップ型雇用との違い・比較

日本では、従来のメンバーシップ型雇用が主流でした。メンバーシップ型雇用とは、ジョブ型雇用とは反対に、業務内容や勤務地を明確に定義せずに雇用するシステムです。人に職務を充てる考え方で、従業員は会社から任された業務に従事します。終身雇用や年功序列、労働組合といった従来のシステムに適した、日本型雇用といわれることもあります。

基本概念の違い

ジョブ型雇用は、職務に対して人材を充てるという基本概念です。明確に職務内容や勤務条件が定義されたうえで雇用されます。ジョブ型雇用では職務に必要なスキルが求職者側に最初から備わっていることが前提です。

一方でメンバーシップ型雇用は、人材に対して職務を充てるという基本概念です。日本ではこれまで多くの企業が、この考え方のもとで人材雇用を行ってきました。職務内容や勤務条件を限定せずに従業員を採用し、企業に貢献できるような人材を育てていきます。

職務の違い

ジョブ型雇用では、あらかじめ定められた職務内容や責任の範囲で働くため、それ以外の職務を行うことは基本的にはありません。

一方でメンバーシップ型雇用は、職務内容が明確に定められていないため、ジョブローテーションにより、未経験の職務に配属されることもあります。

給与の違い

ジョブ型雇用では、職務の内容や専門性の高さによって設定される「職務給」です。年齢や勤続年数で給与が決まるわけではないため、スキルの高さや能力値の高さ次第では、高収入となる場合もあります。

一方でメンバーシップ型雇用の場合、勤続年数や役職などに応じて給与が上がっていく傾向にあります。スキルや能力にかかわらず、勤続年数が長い人ほど報酬が多いのが特徴です。

採用の違い

ジョブ型雇用では、新卒の一括採用はありません。あくまでも能力やスキルを基準に採用を実施するため、欠員が発生した部署や新設された部署がある場合などに限定して人材を募集します。採用で重視するのは専門的な知識やスキルがあるかどうかです。

一方、メンバーシップ型雇用では基本的に新卒の一括採用を行います。中途採用の場合、専門的な知識や能力値も考慮しますが、ジョブ型雇用に比べれば、人柄やコミュニケーションスキルなども重要視するケースが多いでしょう。

育成の違い

前述のようにジョブ型雇用は、あらかじめ企業が必要とするスキルを身につけていることを前提にしています。そのスキルを定着化させるために、企業がコストをかけて社内外で研修を実施することもあります。

一方でメンバーシップ型雇用の場合、基本的に採用後に導入研修やOJTなどを実施したり、自社が定めた育成研修などでスキルアップを促します。その企業や組織で活躍できる人材に狙いを定めて育成計画を立て、育てていく傾向にあります。

配置転換の違い

ジョブ型雇用では、職務に適した人を採用するため、配置転換は基本的には発生しません。オープンポジションがあれば、本人の意向によって配置転換が行われるケースもありますが、そのポジションの条件を満たしていることが必須条件です。

一方でメンバーシップ型雇用は、企業が定期的に人事異動を行います。そのため従業員は、これまでに経験のない職務に就くことも少なくありません。

昇級・昇格/降級・降格の違い

ジョブ型雇用において昇級や昇格は、実績次第で発生するという考え方です。そして同様に、実績次第で降級や降格はあり得ます。

一方でメンバーシップ型雇用は、昇級・昇格は年齢や勤続年数を考慮し、年に1〜2回見直しが行われます。降級や降格については、ほとんど行われないことが特徴です。

キャリアアップの違い

ジョブ型雇用では、基本的に転職によってキャリアアップを目指すことが多いです。またキャリアアップは基本的に個人が自律的に行います。

メンバーシップ型雇用では定期的な人事異動を経て経験とスキルを積み、年齢を重ねると管理職などマネジメント業務を任されることが多いです。メンバーシップ型雇用では、採用後に企業側が研修や異動を通してキャリアアップを促し、従業員の長期的なキャリア形成を支援していきます。

解雇の違い

ジョブ型雇用では、業績の悪化や会社都合で業務縮小などで、従業員を解雇するケースがあります。それにより職務そのものが消失した場合、職務に人を充てているので、企業は従業員のために新しい職務を与える義務はありません。

一方でメンバーシップ型雇用は、ジョブ型雇用に比べて企業が従業員を解雇するのは簡単ではありません。一般的に従業員の解雇には合理的な理由が必要であるとされています。そのため、もし従業員が担当する職務が消失した場合は、別のポジションを用意するなどし、雇用の継続に努めなければなりません。

ジョブ型雇用の誤解

近年の日本では、ジョブ型雇用が注目されつつあるものの、なかなか定着しないという声も聞こえます。その理由の一つは、雇用される側に誤解があるからかもしれません。これからジョブ型雇用を実施する企業は、あらかじめどのような誤解があるのかを知り、それを解消に努めて採用活動を実施するとよいでしょう。

誤解①ジョブ型雇用=成果主義

「ジョブ型雇用=成果主義」と捉えている人は少なくありません。ジョブ型雇用はあくまで「定められた職務をその範囲内で滞りなく遂行すること」を求めているものです。成果主義の場合、言葉の通り仕事の成果だけで給与が決まりますが、ジョブ型雇用の場合は採用時に職務に対する給与が決められており、両者には違いがあります。

誤解②ジョブ型雇用はクビになりやすい

確かにジョブ型雇用では従業員を解雇するケースがあります。業績の悪化や業務縮小など企業側の都合によって従業員に職務を提供することができなくなった場合が該当します。ジョブ型雇用を主流としているアメリカでは、職務がなくなれば解雇することが一般的です。

しかし、日本では従業員の解雇にはさまざまな規制があるのが現状です。現在の日本でジョブ型雇用を導入しても、職務の消失により即解雇という流れにはならないと捉えてよいでしょう。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット【企業側】

ジョブ型雇用を導入する前に、企業が知っておきたい主なメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット1:職務の明確化

ジョブ型雇用では、ジョブディスクリプションを作成し、具体的な業務内容、役割、責任、権限、目標などをあらかじめ設定します。そのため、雇用した従業員一人ひとりが最初からどのような業務をどう遂行していけばよいのかが明確です。

メリット2:人事評価が行いやすい

従業員個々の役割が明らかになっていると、成果物や目標達成度による評価が行いやすくなるのもジョブ型雇用のメリットです。メンバーシップ型雇用と違い、シンプルかつ公平な評価を実現できます。

メリット3:専門性の高い人材採用

ジョブ型雇用では、採用時に求めるスキルや職務をジョブディスクリプションで明確にしたうえで人材を募集します。そのため、企業が求める人材がピンポイントで応募してくる可能性が高まります。

そしてジョブ型雇用の場合、自分のスキルを最大限に発揮したいと考える人の応募が多いため、専門性が高い人材を確保しやすくなります。

メリット4:スキルに合わせた給与設定

ジョブ型雇用には、年齢給といった概念はありません。基本的に職務やスキルに応じた給与を設定するため、スキルが高い人材は年齢が若くても高収入が見込めます。そのため、従業員のモチベーションアップにつながるのもメリットといえます。

デメリット1:転勤や異動ができない

ジョブ型雇用では、勤務地や配属部署もあらかじめ決められています。そのため、企業側の都合で従業員を転勤させたり部署異動させることはできません。

デメリット2:ゼネラリスト不在

ジョブ型雇用では、その職務に特化したスキルを有するスペシャリストを雇用することはできますが、一方で幅広くさまざまな業務に対応できる人材を育てにくい点がデメリットといえます。

デメリット3:人材の流動性が高い

高いスキルや能力を持った人は、多くの企業が採用したいと考えます。そのため、自社に対する従業員エンゲージメントが下がってしまった場合、より好条件の他社へ転職してしまう可能性が高まります。人材を自社にとどめておくための施策を常に検討する必要が出てくるでしょう。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット【従業員側】

ジョブ型雇用を導入する企業は、従業員側から見たメリット・デメリットについても把握しておくとよいでしょう。

メリット1:専門性特化

ジョブ型雇用の場合、従業員は自分のスキルを最大限に活かせる専門領域で仕事が行えます。言い換えれば、自分が得意としない領域で仕事をする必要はありません。得意とする分野でスキルアップしながらその道を極めることができます。

メリット2:スキルに見合った報酬の獲得

ジョブ型雇用の場合、年齢や経験に関係なく、自分のスキルや能力によって報酬が決まります。そのため、スキルアップすれば報酬を上げることもできますし、よりよい条件を提示する企業へ転職することも可能です。

デメリット1:常にスキルアップが求められる

メンバーシップ型雇用では、企業側が研修やジョブローテーションを実施し、従業員のスキルアップをフォローしてくれますが、ジョブ型雇用におけるスキルアップは、自己努力に委ねられる側面があります。向上心の低い従業員はなかなかスキルアップできないのがデメリットといえます。

デメリット2:職務喪失の懸念

ジョブ型雇用では、職務がなくなってしまった場合、解雇される可能性があります。ただし、現在の日本における解雇は簡単には実施することができないため、そこまで気にする必要はないともいえます。

ジョブ型雇用で期待されること

メンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用へと切り替えを検討する企業は増えています。企業によりジョブ型雇用に期待する内容はさまざまです。主にジョブ型雇用では、次のような効果が期待されています。

人件費の削減

メンバーシップ雇用の場合、勤続年数や年齢によって給与が上がるため、従業員の平均年齢と比例して人件費も上がってしまいます。ジョブ型雇用に切り替えることで、職務に対する処遇を設定できるため、人件費の削減の効果が期待できます。

公平な評価・処遇

「定められた職務をその範囲内で滞りなく遂行すること」を求めるジョブ型雇用では、与えられた仕事をきちんと行っている人を評価します。メンバーシップ型雇用の場合、社内失業者に対しても相応の賃金を支払わなければなりませんが、ジョブ型雇用の場合は「きちんと業務を行っている人」に対しての評価・処遇になるため、公平性が期待できます。

人事コストの削減

ジョブ型雇用の場合、あらかじめ必要なスキルや担当する職務を定めたうえで人材を募集します。企業が求める人材と、求職者が求める職務内容にミスマッチが起こりにくいため、早期退職率を下げることができるでしょう。また導入研修などの必要がなく、人事業務に関するコストの削減が期待できます。ただし、従業員エンゲージメントが低下した場合、退職につながる可能性も高まるため注意が必要です。

グローバル化の促進

国外でも事業展開する企業では、ジョブ型雇用の導入により、外国での人材採用が行いやすくなります。職務に対してピンポイントで即戦力となる人材を配置できれば、早い段階で高い生産性が期待できます。海外ではジョブ型雇用が主流のため、求職者側にも受け入れてもらいやすく、効率的な採用活動も期待できます。

ジョブ型雇用への移行で人事はどう変わる?

ジョブ型雇用では、従業員の成長は個人に委ねられます。これまでは育成研修などで企業が中心に行ってきた育成の部分は必要なくなります。その代わり、従業員がそのポジションで求められるパフォーマンスを最大限に発揮できるような環境をつくっていく必要があるでしょう。また、従業員個々のスキルアップの意欲を高められるような後押しも人事の役割になるかもしれません。

さらにジョブ型雇用に移行すると、人事の役割も変化します。給与・評価・昇進昇格・配置など人事が担っていた部分は、現場のマネージャー層が行うことになり大きな負担となることが想定できます。ジョブ型雇用における人事の役割は、これまでに培った人事のノウハウを活かしながら、マネージャー層へ人材配置・育成のアドバイスを行ったり、キャリア構築に悩む従業員への助言などへと変わっていくかもしれません

ジョブ型雇用への移行で人事が対応すべきこと

ジョブ型雇用へ移行するにあたっては事前準備が必要です。人事が行うべきことは主に次の通りです。

職務内容の定義

ジョブ型雇用を行う職務名称・目的・職務内容・責任の範囲・職務の範囲などを定義しましょう。

ジョブディスクリプションの作成

職務内容に加え、必須スキル、経験、知識、ヒューマンスキルなどの職務要件からジョブディスクリプションを作成します。

給与の設定

そのポジションの職種や役職、責任範囲などに基づいてランクを設定し、市場価値に見合った給与額を設定しましょう。

評価基準の設定

従業員がスキルを発揮し、スキルアップしていくため、成果に対する定量的かつ細かい評価基準を設定することが大切です。

ジョブ型雇用導入の周知

既存社員に対してもジョブ型雇用を導入することを周知しなければなりません。導入の意図や雇用条件などを丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。

ジョブ型雇用における人材管理法とは

働き方や仕事への意識の変化に合わせ、これからの日本ではジョブ型雇用への転換を考える企業は増えていくことが予想されます。ジョブ型雇用はさまざまなメリットがある反面、これまでのメンバーシップ型雇用と大きく変わる部分も多く、デメリットとなってしまう側面もあります。

現在の日本では、まだメンバーシップ雇用の方が企業の強みを発揮できる仕組みだともいえます。自社にとってジョブ型雇用の導入が本当に必要かどうかは慎重に検討する必要があります。

『スマカン』は、人材情報を集約し、従業員一人ひとりの能力や評価を可視化するタレントマネジメントシステムです。ジョブ型雇用における人材管理は、システムを活用すると効率的でしょう。

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