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ジョブ型とメンバーシップ型の違いとは|メリット・デメリットを比較

ジョブ型雇用とは? メンバーシップ型との違い、誤解、メリット・デメリット、事例、効果、移行作業で人事が対応すべきこと

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ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、対比的に使用されることが多いです。しかし「違いが整理できていない」「結局どちらがいいのかわからない」という方もいるでしょう。ジョブ型雇用は、職務に求められるスキルや経験を持つ人材を採用する雇用方法、メンバーシップ型雇用は、職務を限定せずに新人を一括採用する長期雇用の方法です。

リモートワークの普及などビジネス環境の変化にともなって、働き方に対する考え方も変わり、メンバーシップ型からジョブ型へ移行を検討する企業もあるかもしれません。

そこで当記事は、ジョブ型とメンバーシップ型の特徴を踏まえて、両者の違いを9つの観点から比較し、メリット・デメリットも解説します。移行する際に必要となる対応についてもご紹介しますので、人事労務担当者や経営者はぜひ参考にしてください。

目次(タップして開閉)

    ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の特徴

    あらためてジョブ型とメンバーシップ型の特徴や普及した背景をおさらいします。

    ジョブ型雇用とは

    ジョブ型雇用とは、企業において必要なジョブディスクリプション(職務記述書)に記載された内容に基づいて雇用されるシステムです。業務内容をはじめ、責任範囲や必要なスキル以外にも、勤務時間や勤務場所などを明確にしたうえで雇用されるため、ほかの部門への異動などは基本的にありません。また、昇格や降格も基本的にはないことも特徴です。

    ジョブ型雇用が注目されている背景

    ジョブ型雇用が注目されている背景には、「転職市場の活性化」と「働き方への意識の変化」が挙げられます。

    転職市場の活性化

    従来の終身雇用制度は崩壊しつつあり、新卒入社から定年までを一つの会社で勤め上げることは少なくなりました。

    企業は優秀な人材を自社に長期間とどめておくことが難しくなったともいえます。これまでは新卒で一括採用し、自社が必要とする人材へと育成することが主流でした。しかし近年ではそれが難しくなったため、必要なスキルを最初から保有している人材を雇用することで、生産性を担保する必要があるのです。このような理由から、ジョブ型雇用に注目する企業が増えているといえます。

    働き方への意識の変化

    人々の「働き方への意識の変化」もジョブ型雇用が注目される理由の一つです。時代の変化に合わせて従業員は「会社のために働く」のではなく、「職務に対して労働力を提供する」という意識に変化している傾向にあります。

    リモートワークの導入など多様な働き方が推奨されるようになった今、ジョブ型雇用はワークライフバランスを取りやすい雇用制度という側面があるため、多くの企業が取り入れようとしています。

    ジョブ型の反対|メンバーシップ型とは

    ジョブ型雇用の対義語として使用される概念がメンバーシップ型雇用です。

    メンバーシップ型雇用とは、ジョブ型雇用とは反対に、業務内容や勤務地を明確に定義せずに雇用するシステムです。人に職務を充てる考え方で、従業員は会社から任された業務に従事します。

    欧米のジョブ型雇用に対して日本では、従来メンバーシップ型雇用が主流でした。終身雇用や年功序列、労働組合といった従来のシステムに適した、日本型雇用といわれることもあります。

    メンバーシップ型雇用が広まった背景

    メンバーシップ型雇用が日本で広まった背景には、高度経済成長期が影響しています。経済成長期の労働市場において、重視されるのは人材のスキルや特性より「数」です。

    経済が活性化し、とにかく大量の人手を必要とした企業が、新卒者を大量に一括採用して囲い込み、自社に適した人材を育てることを重視しました。結果的に定着したのが、長期雇用と育成を前提とした人材採用です。

    結果的にメンバーシップ型雇用は、1つの企業に対する忠誠心を育み、個人能力を高めていくことに成功したといえます。

    ジョブ型とメンバーシップ型の違いを比較

    ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いを、9つの側面から比較してみましょう。

    xxxxxxxxxxxxxxx
    基本概念職務に人を充てる人材に職務を充てる
    職務範囲職務範囲が固定職務範囲が限定されない
    給与職務による(職務給)職位・役職による
    採用欠員補充新卒一括採用が基本
    育成・教育自律的にキャッチアップ、スペシャリスト会社主導の研修を実施、ジェネラリスト
    配置転換・異動基本ない・少ない、本人の希望次第ある、多い
    昇進・昇格/降級・降格(昇進・昇格)職務要件を満たせばあり
    (降級・降格)満たさなくなればあり
    年功序列/あまりない
    キャリアアップ
    解雇職務要件を満たさなければ解雇あり不当な解雇できない

    1.基本概念の違い

    ジョブ型雇用は、職務に対して人材を充てるという基本概念です。明確に職務内容や勤務条件が定義されたうえで雇用されます。ジョブ型雇用では職務に必要なスキルが求職者側に最初から備わっていることが前提です。

    一方でメンバーシップ型雇用は、人材に対して職務を充てるという基本概念です。日本ではこれまで多くの企業が、この考え方のもとで人材雇用を行ってきました。職務内容や勤務条件を限定せずに従業員を採用し、企業に貢献できるような人材を育てていきます。

    2.職務範囲の違い

    ジョブ型雇用では、あらかじめ定められた職務内容や責任の範囲で働くため、それ以外の職務を行うことは基本的にはありません。

    一方でメンバーシップ型雇用は、職務内容が明確に定められていないため、ジョブローテーションにより、未経験の職務に配属されることもあります。

    3.給与の違い

    ジョブ型雇用では、職務の内容や専門性の高さによって設定される「職務給」です。年齢や勤続年数で給与が決まるわけではないため、スキルの高さや能力値の高さ次第では、高収入となる場合もあります。

    一方でメンバーシップ型雇用の場合、勤続年数や役職などに応じて給与が上がっていく傾向にあります。スキルや能力にかかわらず、勤続年数が長い人ほど報酬が多いのが特徴です。

    4.採用の違い

    ジョブ型雇用では、新卒の一括採用はありません。あくまでも能力やスキルを基準に採用を実施するため、欠員が発生した部署や新設された部署がある場合などに限定して人材を募集します。採用で重視するのは専門的な知識やスキルがあるかどうかです。

    一方、メンバーシップ型雇用では基本的に新卒の一括採用を行います。中途採用の場合、専門的な知識や能力値も考慮しますが、ジョブ型雇用に比べれば、人柄やコミュニケーションスキルなども重要視するケースが多いでしょう。

    5.育成・教育の違い

    ジョブ型雇用は、あらかじめ企業が必要とするスキルを身につけていることを前提にしており、自律的な学習が求められます。ただし、そのスキルを定着化させるために、企業がコストをかけて社内外で研修を実施することもあるでしょう。

    一方でメンバーシップ型雇用の場合、基本的に採用後に導入研修やOJT、自社が定めた育成研修などでスキルアップを促します。その企業や組織で活躍できる人材に狙いを定めて育成計画を立て、育てていく傾向にあります。

    6.配置転換や異動の違い

    ジョブ型雇用では、職務に適した人を採用するため、配置転換は基本的には発生しません。オープンポジションがあれば、本人の意向によって配置転換が行われるケースもありますが、そのポジションの条件を満たしていることが必須条件です。

    一方でメンバーシップ型雇用は、企業が定期的に人事異動を行います。そのため従業員は、これまでに経験のない職務に就くことも少なくありません。

    7.昇進・昇格/降級・降格の違い

    ジョブ型雇用において昇級や昇格は、実績次第で発生するという考え方です。そして同様に、実績次第で降級や降格はあり得ます。

    一方でメンバーシップ型雇用は、昇級・昇格は年齢や勤続年数を考慮し、年に1〜2回見直しが行われます。降級や降格については、ほとんど行われないことが特徴です。

    8.キャリアアップの違い

    ジョブ型雇用では、基本的に転職によってキャリアアップを目指すことが多いです。またキャリアアップは基本的に個人が自律的に行います。

    メンバーシップ型雇用では定期的な人事異動を経て経験とスキルを積み、年齢を重ねると管理職などマネジメント業務を任されることが多いです。メンバーシップ型雇用では、採用後に企業側が研修や異動を通してキャリアアップを促し、従業員の長期的なキャリア形成を支援していきます。

    9.解雇の違い

    ジョブ型雇用では、業績の悪化や会社都合で業務縮小などで、従業員を解雇するケースがあります。それにより職務そのものが消失した場合、職務に人を充てているので、企業は従業員のために新しい職務を与える義務はありません。

    一方でメンバーシップ型雇用は、ジョブ型雇用に比べて企業が従業員を解雇するのは簡単ではありません。一般的に従業員の解雇には合理的な理由が必要であるとされています。そのため、もし従業員が担当する職務が消失した場合は、別のポジションを用意するなどし、雇用の継続に努めなければなりません。

    ジョブ型とメンバーシップ型のメリット

    続いてジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用、それぞれのメリットを確認してみましょう。企業側の立場と従業員側の立場から解説します。

    ジョブ型のメリット【企業側】

    メリット1職務の明確化
    メリット2評価が行いやすい
    メリット3専門性の高い人材採用
    メリット4スキルに見合った給与設定

    メリット1:職務の明確化
    ジョブ型雇用では、ジョブディスクリプションを作成し、具体的な業務内容、役割、責任、権限、目標などをあらかじめ設定します。そのため、雇用した従業員一人ひとりが最初からどのような業務をどう遂行していけばよいのかが明確です。

    メリット2:人事評価が行いやすい
    従業員個々の役割が明らかになっていると、成果物や目標達成度による評価が行いやすくなるのもジョブ型雇用のメリットです。メンバーシップ型雇用と違い、シンプルかつ公平な評価を実現できます。

    メリット3:専門性の高い人材採用
    ジョブ型雇用では、採用時に求めるスキルや職務をジョブディスクリプションで明確にしたうえで人材を募集します。そのため、企業が求める人材がピンポイントで応募してくる可能性が高まります。

    そしてジョブ型雇用の場合、自分のスキルを最大限に発揮したいと考える人の応募が多いため、専門性が高い人材を確保しやすくなります。

    メリット4:スキルに合わせた給与設定
    ジョブ型雇用には、年齢給といった概念はありません。基本的に職務やスキルに応じた給与を設定するため、スキルが高い人材は年齢が若くても高収入が見込めます。そのため、従業員のモチベーションアップにつながるのもメリットといえます。

    ジョブ型のメリット【従業員側】

    メリット5専門性特化
    メリット6スキルに見合った報酬獲得

    メリット5:専門性特化
    ジョブ型雇用の場合、従業員は自分のスキルを最大限に活かせる専門領域で仕事が行えます。言い換えれば、自分が得意としない領域で仕事をする必要はありません。得意とする分野でスキルアップしながらその道を極めることができます。

    メリット6:スキルに見合った報酬の獲得
    ジョブ型雇用の場合、年齢や経験に関係なく、自分のスキルや能力によって報酬が決まります。そのため、スキルアップすれば報酬を上げることもできますし、よりよい条件を提示する企業へ転職することも可能です。

    メンバーシップのメリット【企業側】

    メリット1長期計画的なゼネラリスト育成
    メリット2所属意識を持たせてチーム強化
    メリット3採用コストの抑制
    メリット4柔軟な配置転換

    メリット1:長期計画的なゼネラリスト育成
    メンバーシップ型雇用では長期的にゼネラリストを育成しやすいです。ジョブローテーションなども行いながら、時間をかけて計画的に幅広い知見を持った幹部候補を育てられるでしょう。

    メリット2:帰属意識を持たせてチーム強化
    メンバーシップ型雇用は長期雇用が前提のため、企業に対する帰属意識が強くなるといわれています。個人の帰属意識が高まるとモチベーションが上がり、お互いに協力し合うようになるため、労働生産性も上がる可能性があります。


    メリット3:採用コストの抑制
    新卒一括採用を行うメンバーシップ型雇用は、短期間に集約できるため、不定期採用に比べて低コストで済むといわれています。また基本的に未経験をターゲットにしているため、コストを抑えて優秀な学生を確保しようとする企業の意図があります。


    メリット4:柔軟な配置転換
    メンバーシップ型雇用では、急な欠員補充や経営方針の転換に応じて、人の配置を変えられる傾向にあります。ゼネラリスト育成が基本のため、比較的柔軟にチームを再編成できるでしょう。

    メンバーシップ型のメリット【従業員側】

    メリット5研修の機会が用意されている
    メリット6突然の解雇の心配がない

    メリット5:研修の機会が用意されている
    メンバーシップ型雇用は基本的に、会社主導で研修の場を提供されることが多いです。長期的な視野で、同じ会社でキャリアアップを目指せることはメリットの一つといえます。

    メリット6:突然の解雇の心配がない
    長期雇用を基本とするメンバーシップ型雇用は、突然解雇される心配があまりありません。労働組合や解雇規制によって、従業員は守られている場合が多く、年功序列によって上がりやすい給与を得ながら、安心して働ける環境といえるでしょう。

    ジョブ型とメンバーシップ型のデメリット

    反対にジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用、それぞれのデメリットを確認してみましょう。デメリットも企業側の立場と従業員側の立場から解説します。

    ジョブ型のデメリット【企業側】

    デメリット1転勤や異動ができない
    デメリット2ゼネラリストが不在
    デメリット3人材の流動性が高い

    デメリット1:転勤や異動ができない
    ジョブ型雇用では、勤務地や配属部署もあらかじめ決められています。そのため、企業側の都合で従業員を転勤させたり部署異動させることはできません。

    デメリット2:ゼネラリスト不在
    ジョブ型雇用では、その職務に特化したスキルを有するスペシャリストを雇用することはできますが、一方で幅広くさまざまな業務に対応できる人材を育てにくい点がデメリットといえます。

    デメリット3:人材の流動性が高い
    高いスキルや能力を持った人は、多くの企業が採用したいと考えます。そのため、自社に対する従業員エンゲージメントが下がってしまった場合、より好条件の他社へ転職してしまう可能性が高まります。人材を自社にとどめておくための施策を常に検討する必要が出てくるでしょう。

    ジョブ型のデメリット【従業員側】

    デメリット4常にスキルアップが求められる
    デメリット5職務喪失の懸念

    デメリット4:常にスキルアップが求められる
    メンバーシップ型雇用では、企業側が研修やジョブローテーションを実施し、従業員のスキルアップをフォローしてくれますが、ジョブ型雇用におけるスキルアップは、自己努力に委ねられる側面があります。向上心の低い従業員はなかなかスキルアップできないのがデメリットといえます。

    デメリット5:職務喪失の懸念
    ジョブ型雇用では、職務がなくなってしまった場合、解雇される可能性があります。ただし、現在の日本における解雇は簡単には実施することができないため、そこまで気にする必要はないともいえます。

    メンバーシップのデメリット【企業側】

    デメリット1スペシャリスト不足
    デメリット2年功序列による人件費の高騰
    デメリット3スペシャリスト不足

    デメリット1:スペシャリスト不足
    ジェネラリストの育成に向いているメンバーシップ型雇用を採用していると、反対にスペシャリストが育ちにくくなります。業務で専門性が必要になって社内に適任者がいない場合、新たに人を採用するか、専門スキルを持った人材を育てるか、対策をとらなければなりません。

    デメリット2:年功序列による人件費の高騰
    年功序列を採用するメンバーシップ型雇用では、基本的に長く勤めた社員に高い給与を支払わなければなりません。社員の平均年齢が高い企業は、それだけ経営を圧迫する恐れもあるのです。

    デメリット3:テレワークでの管理が困難
    メンバーシップ型雇用は、テレワークに向いていないとされています。担当業務が明確でなく、業務の割り振りや管理、コミュニケーションが取りづらいためです。

    メンバーシップ型のデメリット【従業員側】

    デメリット4会社都合で労働条件変更の恐れ
    デメリット5年功序列による給与体系

    デメリット4:会社都合で労働条件変更の恐れ
    メンバーシップ型雇用は、ジョブ型雇用のように業務内容や勤務時間、勤務地について明確に雇用契約を交わしていないため、会社の都合で異動や転勤、残業を命じられることも少なくありません。専門性を磨きたい社員にとっては、デメリットに感じることもあるでしょう。

    デメリット5:若手の給与が上がりにくい
    新卒で入社した従業員がどれだけ優秀でも、年功序列を採用している企業では、給与は上がりにくいです。自分の努力が反映されないとモチベーションが下がってしまうでしょう。

    ジョブ型雇用は日本に合わない?|誤解

    ジョブ型雇用は欧米では主流であるものの、日本では運用が難しく、注目されているものの、なかなか定着しないという声もあります。今後導入予定がある企業は、誤解の内容を知って、ジョブ型雇用の本質を理解しておくといいかもしれません。

    誤解1.ジョブ型雇用は成果主義である

    ジョブ型雇用の誤解として「ジョブ型雇用=成果主義」と捉えている人は少なくないかもしれません。ジョブ型雇用はあくまでも「定められた職務をその範囲内で滞りなく遂行すること」を求めています。成果主義の場合、言葉の通り仕事の成果だけで給与が決まりますが、ジョブ型雇用の場合は採用時に職務に対する給与が決められており、両者には違いがあります。

    誤解2.ジョブ型雇用はクビになりやすい

    ジョブ型雇用の誤解は、解雇が頻繁に行われているとイメージしている人もいるかもしれません。確かにジョブ型雇用では従業員を解雇するケースがあります。業績の悪化や業務縮小など企業側の都合によって従業員に職務を提供することができなくなった場合が該当します。ジョブ型雇用を主流としているアメリカでは、職務がなくなれば解雇することが一般的です。

    しかし、日本では従業員の解雇にはさまざまな規制があるのが現状です。現在の日本でジョブ型雇用を導入しても、職務の消失により即解雇という流れにはならないと捉えてよいでしょう。

    ジョブ型とメンバーシップ型はどちらがいい?

    ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は対比的に使用され、どちらがいいのかと悩んでいる人事労務担当者や経営者もいるでしょう。2つの制度はそれぞれメリット・デメリットがあり、企業によって向き・不向きがあるといえます。

    まずはジョブ型雇用はスペシャリスト育成向き、メンバーシップ型雇用はジェネラリスト育成向きで長期安定雇用を前提としている、という特徴を踏まえるといいかもしれません。深い専門スキルを持ったスペシャリスト人材と、幅広い知見を持ったジェネラリスト人材、どちらに重きをおいてマネジメントするのがいいのか、今後の人材戦略をもとに検討してみましょう。

    また、マイナビ転職が20〜50代を対象に実施したWeb調査によると、メンバーシップ型を望む正社員がジョブ型を上回る結果になりました。ただし20代のみ、若干ジョブ型を希望する人が多かったようです。

    参照:マイナビ転職Web調査

    さらに最近では、ジョブ型とメンバーシップ型のメリットを取り入れた「ハイブリッド型」といわれる人事制度を採用する企業も一部あります。ジェネラリストとスペシャリストの特徴をあわせ持つ「T型人材」という言葉も生まれています。

    メンバーシップ型からジョブ型に移行するメリット

    メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へと切り替えを検討している企業もいるかもしれません。メンバーシップ型からジョブ型に移行するとどのようなメリットや効果があるのでしょうか。主なメリットを4つご紹介します。

    人件費の削減

    メンバーシップ雇用の場合、勤続年数や年齢によって給与が上がるため、従業員の平均年齢と比例して人件費も上がってしまいます。ジョブ型雇用に切り替えることで、職務に対する処遇を設定できるため、人件費の削減の効果が期待できます。

    公平な評価・処遇

    「定められた職務をその範囲内で滞りなく遂行すること」を求めるジョブ型雇用では、与えられた仕事をきちんと行っている人を評価します。メンバーシップ型雇用の場合、社内失業者に対しても相応の賃金を支払わなければなりませんが、ジョブ型雇用の場合は「きちんと業務を行っている人」に対しての評価・処遇になるため、公平性が期待できます。

    人事コストの削減

    ジョブ型雇用の場合、あらかじめ必要なスキルや担当する職務を定めたうえで人材を募集します。企業が求める人材と、求職者が求める職務内容にミスマッチが起こりにくいため、早期退職率を下げることができるでしょう。また導入研修などの必要がなく、人事業務に関するコストの削減が期待できます。ただし、従業員エンゲージメントが低下した場合、退職につながる可能性も高まるため注意が必要です。

    グローバル化の促進

    国外でも事業展開する企業では、ジョブ型雇用の導入により、外国での人材採用が行いやすくなります。職務に対してピンポイントで即戦力となる人材を配置できれば、早い段階で高い生産性が期待できます。海外ではジョブ型雇用が主流のため、求職者側にも受け入れてもらいやすく、効率的な採用活動も期待できます。

    メンバーシップ型からジョブ型に移行すると何が変わる?

    ジョブ型雇用では、従業員の成長は個人に委ねられます。これまでは育成研修などで企業が中心に行ってきた育成の部分は必要なくなるかもしれません。その代わり、従業員がそのポジションで求められるパフォーマンスを最大限に発揮できるような環境をつくっていく必要があるでしょう。また、従業員個々のスキルアップの意欲を高められるような後押しも人事の役割になる可能性もあります。

    さらにジョブ型雇用に移行すると、人事の役割も変化します。給与・評価・昇進昇格・配置など人事が担っていた部分は、現場のマネージャー層が行うことになり、大きな負担となると考えられます。

    ジョブ型雇用における人事の役割は、これまでに培った人事のノウハウを活かしながら、マネージャー層へ人材配置・育成のアドバイスを行ったり、キャリア構築に悩む従業員への助言などへと変わっていくかもしれません。

    メンバーシップ型からジョブ型への移行で必要な対応

    メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ移行するには事前の準備が必要です。想定される人事に必要な対応は次の通りです。

    職務内容の定義

    ジョブ型雇用を行う職務名称・目的・職務内容・責任の範囲・職務の範囲などを定義しましょう。

    ジョブディスクリプションの作成

    職務内容に加え、必須スキル、経験、知識、ヒューマンスキルなどの職務要件からジョブディスクリプションを作成します。

    給与の設定

    必要なポジションの職種や役職、責任範囲などに基づいてランクを設定し、市場価値に見合った給与額を設定しましょう。

    評価基準の設定

    従業員がスキルを発揮し、スキルアップしていくため、成果に対する定量的かつ細かい評価基準を設定することが大切です。

    ジョブ型雇用導入の周知

    既存社員に対してもジョブ型雇用を導入することを周知しなければなりません。導入の意図や雇用条件などを丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。

    メンバーシップ型からジョブ型への移行では人材管理の見直しを

    働き方や仕事への意識の変化に合わせて、これからの日本ではジョブ型雇用への転換を考える企業は増えていくかもしれません。ジョブ型雇用はさまざまなメリットがある反面、これまでのメンバーシップ型雇用と大きく変わる部分も多く、向いていない企業もあります。

    現在の日本では、まだメンバーシップ雇用の方が企業の強みを発揮できる仕組みだともいえます。自社にとってジョブ型雇用の導入が本当に必要かどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。

    『スマカン』は人材情報を集約し、従業員一人ひとりの能力や評価を可視化するタレントマネジメントシステムです。メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行では、個々のスキルの明確化が不可欠です。人材管理を見直す場合は、タレントマネジメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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    記事監修

    監修者

    スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

    一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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