- 2023.04.14
- タレントマネジメント
- 人事評価
評価制度とは|種類やトレンド、事例、作り方を紹介

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従業員を評価する「評価制度」は、多くの企業が導入している人事制度の一つです。
評価制度は、一人ひとりの処遇を決めるだけではありません。適切な運用を行うことで企業の生産性や業績の向上にもつながります。一方で「どのような評価制度を取り入れたらいいのかわからない」「どうやって構築すればいいのだろう」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、評価制度の目的を解説し、種類やトレンド、事例などをご紹介します。自社に適した評価制度の導入を検討している人事担当者は、ぜひ参考にしてみてください。
目次(タップして開閉)
評価制度とは
評価制度とは、従業員の業務遂行能力や成果などを評価・査定する制度です。半年に1回、1年に1回というように定期的に行い、評価基準は各企業によって異なります。
評価制度は人事制度の一環として「等級制度」や「報酬制度」と連携しており、よい評価を得られると役職が上がったり給料が増えたりするのが一般的です。従業員のモチベーションが高まって目標達成や生産性の向上につながるため、評価制度は適切に実施する必要があるでしょう。
評価制度を導入する目的
ここでは、評価制度を導入する目的を3つご紹介します。
処遇
評価制度を導入する目的の一つは、処遇への反映です。給与や賞与、昇進・昇格といった処遇は、一人ひとりの能力や業績への貢献に見合ったものでなければなりません。
客観的な指標でさまざまな基準を用いながら評価制度を運用し、処遇に反映することで、納得感を得やすい評価につながります。評価制度は、処遇に納得してもらうために有効だといえるでしょう。
育成
評価制度では、従業員の育成を目的とする場合もあります。評価結果によって従業員ごとの強みや弱みが把握できるため、それぞれに適した育成プログラムが提供しやすくなるためです。
若手社員であれば将来のキャリアや業務に関する悩みを相談できるメンターをつけること、中堅社員であればマネジメント研修への参加などが検討にあがるでしょう。
また、的確な評価を受けた従業員は承認欲求が満たされ、主体的な成長のきっかけになるかもしれません。本人の次の目標が明確になり、求められている行動や課題がフィードバックされる点もポイントといえます。
配置
適切な人材を適切な部署に配置することで全体の生産性が上がり、成果の最大化を目指せます。従業員の能力や適性を見極めるには、評価制度の活用が効果的といえるでしょう。客観的な評価基準によって、把握できた従業員の適性に基づいて配置を最適化すると、よりパフォーマンスを発揮してもらえる可能性があります。
最適な人材配置ができると、生産性向上による業績アップだけでなく、従業員エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。
評価制度の種類・トレンド
評価制度にはどのような種類やトレンドがあるのでしょうか。
ここでは8つの種類・トレンドをご紹介します。
目標管理制度(MBO)
ピーター・ドラッカー氏が提唱したことでも有名な「目標管理制度(MBO)」は、代表的な評価制度の一つです。目標管理制度では、従業員一人ひとりが個人の目標を設定し、その達成度によって1年に1回評価が行われます。
みずから目標設定することで、自主性が生まれやすい点が大きなメリットといえるでしょう。一方デメリットとしては、経営状況の変化に伴い、目標内容を見直す必要がある点などが挙げられます。
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コンピテンシー評価
「コンピテンシー評価」は、成果を出している従業員に共通する行動特性(=コンピテンシー)を基準とした評価制度です。能力やスキルではなく、実際の行動がどのような結果を生み出したのかを客観的に評価するため、納得感を得やすいことが特徴といえます。
また、ほかの従業員が優れた従業員の行動特性を身につけられる点もメリットの一つです。基準が明確で評価のブレが少ない反面、定めておく基準は客観的に測りやすいものにしておく手間がかかるでしょう。
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360度(多面)評価
従来の人事評価では、上司が部下の評価を行うケースがほとんどでした。「360度(多面)評価」は、上司だけでなく、先輩や同僚、後輩なども評価に参加する制度です。
多面的な評価のため、公平性や妥当性、信頼性が高まるといったメリットがあります。一方で、評価の質がバラつくといったデメリットのほか、場合によっては人間関係が悪化してしまう可能性もあります。360度評価を導入する際は、評価基準の見直しや匿名性にするなどの注意を払うようにしましょう。
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OKR
「OKR(Objectives and Key Results)」を直訳すると「達成目標と主要な成果」を意味します。企業が設定したO(=達成目標)をベースに、チームと個人がそれぞれのKR(=主要な結果)を決めてリンクさせる評価制度です。
達成目標には、企業が最終的に目指す高い目標を定性的に設定し、主要な成果には、従業員が達成目標に至るまでに必要な中間評価指標を定量的に設定します。
OKRのメリットは、企業と従業員の方向性が一致しやすくなることです。一方のデメリットは、達成目標と主要な結果に整合性がとれなかったり、あまりにも高すぎる達成目標によってモチベーションを低下させてしまう点です。
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リアルタイムフィードバック
1~2週間に1回、あるいは1か月に1回などの短期間でフィードバックを行う評価制度が、「リアルタイムフィードバック」です。
1年や半期ごとに行う評価制度よりも、現状に合わせたタイムリーな目標設定がしやすく、次の課題も見つけやすいというメリットがあります。ただし、業務外の工数が増えて従業員に負担がかからないよう、実施前に頻度や内容をしっかり検討しておくことが重要です。
ノーレイティング
「ノーレイティング」は、ABCDや123などのランクをつけない評価制度です。年次評価より高い頻度で1on1ミーティングを行い、リアルタイムで従業員の行動や成果をフィードバックします。
そのため、上司と部下のコミュニケーションが活発化しやすく、環境の変化に柔軟な対応ができるなどのメリットがあります。
一方で、フィードバックする側である管理職の負担が大きくなりやすいというデメリットもあります。
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バリュー評価
「バリュー評価」は、企業が掲げる「価値観や行動基準」すなわち「バリュー」を実践できているかを評価する制度です。バリューに沿ってどれだけ行動できたかを評価し、従業員の行動力に注目しています。
従業員はバリューに沿って業務を行うようになるため、企業と従業員の価値観が一致しやすくなり、組織力の強化が期待できるでしょう。
ただし、バリューは定性的なものが多く、評価者の主観が入らないように工夫する必要があるでしょう。評価基準をグレード別に定めたり、社内に評価基準を浸透させたりする方法が考えられます。
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パフォーマンス・デベロップメント(PD)
部下の成長に焦点を当てた評価制度のことを、「パフォーマンス・デベロップメント(PD)」といいます。個人の業績よりも、キャリアの方向性を加味した成長度を評価の基準とするのが特徴です。
パフォーマンス・デベロップメントでは、評価者である上司が部下と頻繁に面談し、リアルタイムにフィードバックすることから、お互いのコミュニケーションが活発化します。
ただし、評価にばらつきが出やすくなる懸念もあるため、具体的で測定しやすい目標を部下に設定してもらう必要があります。
評価制度のメリット
評価制度を導入するメリットとして挙げられるのは、次の3つです。
従業員の企業への信頼感が高まる
評価制度の導入によって評価基準が具体的になると、従業員は企業から求められている役割を意識しやすくなります。正当な評価を受けていると感じやすくなることもあり、企業への安心感や信頼感にもつながります。
また、トレンドの評価制度を取り入れると従業員同士のコミュニケーションが活発化し、目標達成に向けて企業全体がまとまりやすくなるメリットもあるでしょう。
モチベーションが向上する
評価制度の結果を待遇に反映させると、従業員のモチベーション向上につながるしょう。さらに、一人ひとりが高いモチベーションで主体的に業務に取り組めると、社内全体の士気が高まって業務効率化が進むため、生産性向上も見込めるでしょう。
今後の人材開発につながる
評価制度を導入することで、従業員一人ひとりの能力やスキルが把握しやすくなります。抱えている問題や課題も抽出しやすいため、人材に関するさまざまな施策の決定がスムーズになるでしょう。
スキルアップをはかる研修プログラムの策定や能力に適した部署への配置転換など、今後の人材開発にも役立ちます。
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評価制度のデメリット
評価制度を導入するデメリットは、次の2つです。
不信感や反発を受けやすい
新しい評価制度を取り入れることで、一部の従業員から不信感や反発を受ける恐れがあります。たとえば、年功序列型の評価制度から能力や成果を重視した評価制度へ移行する場合、ベテランの従業員が企業に対して不信感を持ったり反発したりする可能性があるでしょう。安易な導入は避けて、自社の環境や風土に適した評価制度を見極めることが重要です。
モチベーションが低下する恐れ
不明確な基準や評価では、従業員のモチベーションが低下しやすくなります。評価制度の導入や見直しを行う際は退職につながることがないよう、一定の納得感が得られる評価制度を取り入れたり、人事が従業員との面談の機会を設けて丁寧に説明したりするなどの工夫を施すようにしましょう。
評価制度の作り方
評価制度を構築する場合、次の流れで行うとよいでしょう。
1.項目の作成
まず、評価制度の項目を作成します。代表的な項目は下記の3つです。
・職務に必要な知識・スキルを評価する「能力評価」 ・実績を定量的、あるいは定性的に評価する「成果評価」 ・業務への姿勢や貢献度を評価する「随意評価」 |
2.項目比重の決定
次に、作成した項目それぞれにおける「比重」を決めていきましょう。職種や部署、役職などによって調整するのが基本です。一般的に役職が上がるほど「成果評価」の比重が大きくなる傾向にあります。
3.項目・比重の見直し
評価制度は、企業の業績や経営状況の変化に伴い、定期的な見直しを行う必要があります。「処遇」「育成」「配置」の3つの目的をあらためて確認したうえで、項目とそれぞれの比重を見直すとスムーズです。
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評価制度を構築するポイント
評価制度を構築する際は、評価項目をつくりすぎないことが重要です。評価項目が多すぎると運用の手間がかかり、評価を適切に行えない可能性があります。そのため評価項目を厳選し、タイミングを見はからってスタートさせるとよいでしょう。
運用開始後は、定期的に見直すことも大切です。また、社員全員が理解できるわかりやすい評価基準と、複数人で行う公平な評価の導入も重要なポイントといえます。加えて、待遇への反映も明確にするようにしましょう。
評価制度の企業事例
評価制度を導入して、効果をあげている企業の事例を2つご紹介します。
ソフトバンク株式会社
ソフトバンクで株式会社は「評価と報酬は頑張った人が次の挑戦へ向えるように。」をコンセプトとした評価制度を実施しています。担当するミッションや働き方に応じた「ミッショングレード制」を基本とし「貢献度評価」と「コア能力・バリュー評価」の2つの評価指標を取り入れている点が特徴です。
また、これらを連動させた報酬制度も整えています。特に賞与に関しては、従業員それぞれの貢献度評価に変動幅を持たせることで、貢献度によって賞与の金額を決定しています。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、さまざまなバックグラウンドを持った従業員が集まる多様な組織に対応するため、2021年1月から評価制度を刷新しています。新評価制度では、評価軸を「成果評価」と「行動評価」に分け、それぞれを5段階で評価します。昇給・昇級は「成果評価」と「行動評価」の両方を鑑み、賞与は「成果評価」と連動して決定する仕組みです。
メルカリは「ミッション(経営理念)に基づいたバリューの発揮」を最も重要視しています。数値化された成果だけでなく、中長期的なチャレンジや「行動評価」を通じて、いかにバリュー(経営方針)を体現できたかを評価する点が特徴です。
参照:『メンバーの活躍を“大胆に”報いる──大幅アップデートされたメルカリ人事評価制度の内容と意図』mercan
まとめ
評価制度は人事制度の一環で、定期的に従業員の能力や成果などを評価・査定する制度を指します。「処遇」や「育成」、「配置」を目的として行い、評価基準は企業によってさまざまです。
自社に合った評価制度を適切に運用することで従業員の納得感を得られれば、企業への信頼度やモチベーションがアップし、組織全体の業績向上にもつながるでしょう。当記事でご紹介した評価制度を参考に、自社に最適な評価制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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