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人材育成とは?課題や考え方、実践手法も徹底紹介
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企業において人材育成は、会社を成長させるために欠かせない人事課題の一つです。しかし、「人材が育成しない」「人材育成のやり方に不安がある」という課題を抱えている企業も珍しくありません。
そこで当記事は、人材育成について、現状の課題や人材育成の方法、進め方、成功させるためのポイントなどを中心にご紹介します。
人材育成に課題を感じている経営者や人事担当者はぜひ読んでみてください。
目次(タップして開閉)
人材育成とは?
人材育成とは、企業が成長するために優秀な従業員を育てることです。経営目標の達成や業績向上のために貢献できる人材を育成することであり、企業の目標を達成するための手段の一つと捉えるとわかりやすいでしょう。
人材教育や人材開発との違い
人材育成と似た言葉に、人材教育や人材開発という言葉があります。
人材教育は、スキルや能力を習得するために、教えたり経験させたりするものです。これは人材育成のための手段の一つといえます。
人材開発は、人材を経営資源として有効活用するために、本来の能力を開発したり伸ばしたりすることを指す言葉として理解しましょう。
人材育成の重要性
人材育成は、単純に企業の成長や経営目標の達成という観点だけでなく、人材不足や市場競争の激化という点からも重要視されています。
技術の進化によってサービス(製品)が均一化され、技術や価格だけでは、他社との差別化が難しい場合もあるでしょう。より優秀な人材を育てることで、新たなサービス(商品)の販売やアイデアの創出、変化への迅速な対応力が求められています。
また、高齢化による労働力人口の減少の影響もあり、人材不足を補うためにも人材育成が重要といえるのです。
人材育成の目的
人材育成を行う目的にはどのような点が挙げられるのでしょうか。人材育成の具体的な3つの目的について確認してみましょう。
経営目標を達成させるため
人材育成は、企業の経営目標を達成させるために行われます。経営目標を達成させるために、従業員に必要なスキルや知識を習得してもらいます。また、人材育成によって培われた適切な考え方や判断力、正しい行動を活かし、企業の目標達成を目指して行動できるようになるでしょう。
将来の組織力を向上させるため
人材育成は、企業において将来的な成長のために必要といえます。若手社員が10年後、20年後には会社の中心的存在として能力を発揮したり、組織をまとめられるようにしておかなくてはなりません。長期的な視野で人材を育成することも、企業の将来に大きな影響をもたらすでしょう。
生産性向上のため
人材育成は、人手不足における生産性向上のためにも行われます。企業が人材不足であったとしても、既存社員のパフォーマンスが優れていれば人材不足をカバーできる可能性があります。
既存社員だけで十分な業績を残せれば、採用コストの抑制にもつながるでしょう。そのため、人材育成は、生産性向上にも効果的といえるでしょう。
人材育成の方法・種類
人材育成の具体的な方法や種類についてご紹介します。
目標管理制度(MBO)
目標管理制度(MBO)は、従業員一人ひとりが目標を立て、その達成度によって従業員を評価する制度です。企業が一方的に評価するのではなく、個人が設定した目標を企業に共有するのがポイントです。
従業員は「どれだけ達成できたか」を定期的に自己評価し、目標の進捗を管理します。自身で立てた目標達成のために、工夫をして業務を進めるようになるので、自律型人材へと成長することが期待されています。
スキル管理
スキル管理とは、従業員のスキルや能力、経験を可視化して管理する仕組みです。たとえばスキルマップを作成し、現状のスキルレベルを明確にしたうえで、目指すべき姿から逆算して教育するという方法があります。
スキルマップとは、職種や役職に求められるスキルとその到達レベルを定義し、一人ひとりレベルを表にまとめて一覧にしたものです。従業員のスキルを体系的に捉えることができ、育成スピードが上がるなどのメリットがあります。人事担当者側からすると、人事評価の項目としても活用できるので利便性が高いといえるでしょう。
スキルマップを作成するときは、現場の管理職に協力してもらうと、組織全体が求める教育と現場教育の乖離(かいり)を防げるはずです。管理職が部下を教育する際も、目安となり役立つ可能性があります。
メンター制度
メンター制度は、社内の先輩を「メンター」として後輩「メンティー」に対し、幅広くサポートする人材育成の仕組みです。メンターは、メンティーと比較的年齢や社歴が近い社員が選ばれることが多く、スキルの伝達はもちろん、精神的なケアやキャリア形成に関する相談まで行います。
また、メンターには、メンティーのロールモデルとしての役割もあります。メンティーは、年齢や社歴の近い先輩社員から、成長イメージを描くことができるので、本人の意欲向上にもつながるでしょう。
ジョブローテーション制度
ジョブローテーション制度は、定期的に従業員を部署異動させ、さまざまな職務経験を積ませる人事制度です。多種多様な経験を積み、企業にとって中長期的に活躍できる人材の育成を目的としています。
戦略的に部署を異動させると、従業員は企業内の仕事を多角的に捉えられるようになります。経験豊富なゼネラリストを育てるのに効果的といえるでしょう。
OJT(On-the-Job Training)
OJTは「On the Job Training」の略。実務を通じて、新入社員や未経験の新規配属者に必要な知識や技術などを教える育成方法をいいます。
現場の第一線で活躍する上司や先輩トレーナーが、マンツーマンで指導し、実務を習得させます。メリットは、比較的相談しやすい環境で、個人の特性やスピードに合わせて育成できるところです。
Off-JT(Off-the-Job Training)
Off-JTとは、通常業務を通して訓練や教育するOJTに対して、職場や日常的な業務から離れて、時間や場所をとって実施する教育や訓練を指します。
一般的には、企業側で予算や内容を計画し、講師や環境を手配します。オンラインスクールの受講や外部セミナーへの参加、外部講師を招くなどの方法があります。
自己啓発
自己啓発は、業務外で従業員が主体的に取り組む学習を指します。企業側が直接的に行う人材育成ではないものの、従業員の成長を促すために自己啓発にかかる費用を負担する場合などがあります。
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人材育成の課題
人材育成における課題にはどのようなものがあるのでしょうか。
人材育成の重要性が理解されていない
人材育成の課題として、そもそも人材育成の重要性が理解されていない点が挙げられます。従業員だけでなく経営層においても、目の前の業務をこなすことが優先され、人材育成にかける時間も労力も確保できないという状況が生じている場合があるでしょう。
しかし、人材育成は会社の成長や業績にも影響するため、計画的に進めていきたいところです。経営層と従業員に理解を得られるよう、人材育成の重要性や人材育成の目的などを粘り強く伝えましょう。
働き方の変化によってコミュニケーションの機会が減少
人材育成の課題には、働き方の変化でコミュニケーションの機会が減少している点もあるでしょう。特に新型コロナウイルスの拡大によって浸透したテレワークでは、直接的なコミュニケーションをとる機会が減少したことで、人材育成が進まないという課題が露呈しました。
コミュニケーションは、信頼関係を構築するためにも重要な手段です。テレワークなどで機会が減ってしまう場合には、1on1などを取り入れてできるだけコミュニケーションの機会をつくるようにしましょう。
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人材育成の方法や知識がない
人材育成の課題として、そもそも人材育成に関するノウハウが足りていないという点も挙げられます。企業として適切な人材育成に関するノウハウを確立できていなかったり、人材育成の知識や経験を持つ人材がいなかったりする場合です。
人材育成の適切な方法は企業によっても異なりますが、人材育成のノウハウがまったくない場合は、外部に委託しながら人材育成に特化した部署を立ち上げる方法などが考えられます。
人材育成の目標
人材育成の目標はどのような内容で設定するのが理想的なのでしょうか。具体的な目標について、チェックしてみましょう。
定量的な目標を設定する
人材育成の目標を立てる際は、適切な評価を行うためにも定量的な目標を設定することが大切です。目標に対してどれくらい達成できたかを判断しやすく、かつ客観的な視点で評価できるため、事実に基づいた指標として捉えられるからです。
たとえば、「会社全体で20人以上をスキルテストに合格させる」や特定の資格試験において「〇級以上の合格者を3人輩出する」など、具体的で明確な目標を設定しましょう。
目標の期日を明確にする
人材育成の目標では、具体的な期日を設定しましょう。目標の期日が明確であると、達成させたい目標に対し、逆算して計画を立てられるためです。
期日を曖昧(あいまい)にしてしまうと、ダラダラと取り組む従業員もあらわれるかもしれません。明確な期日に向けて達成のための計画を立てられるようにしましょう。
会社目標に紐づく内容にする
人材育成の目標は、会社目標を意識した内容にすることが重要です。会社の業績にかかわることや会社目標に関係する内容などを踏まえて設定します。会社目標と関係のない目標を立てても意味がありません。
また、人材育成の優先度が下がらないためにも、会社目標を達成するために必要なスキルや人材像などを踏まえて設定してもらうのがポイントです。
人材育成の計画や進め方
人材育成を適切に実行し、効果的なものにするために、計画や進め方をご紹介します。
自社の課題から育成したい人物像を抽出する
人材育成の最初のステップになるのが、会社の課題を明確にしたうえで解決できる(育成したい)人物像を明らかにすることです。会社によって課題や人物像は異なるため、自社と向き合うことがより重要といえます。
自社の戦略や目指す方向性を確認する
次に、課題や人物像を洗い出したら、それが本当に会社にとって優先度や重要度の高いものかどうかを改めて確認しましょう。会社の将来に大きく影響しそうなもの、深刻な課題、業績に直結するようなものなど、優先度を踏まえてチェックすることが大切です。
適切な人材育成の方法を選択する
人材育成の方法としては、複数の方法や種類があります。自社として進めていくべき人材育成が、どの方法をとるのが最適なのかを見極めましょう。
人材育成の運用方法や仕組みを整える
人材育成の具体的な内容が決まったら、具体的な運用方法や仕組みを整えます。スキルマップの作成や運用、担当者を選定するなどして、スムーズな人材育成ができるようにしましょう。
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若手社員の人材育成
新卒入社や社歴の浅い若手社員に対する人材育成について、課題と育成計画の例をご紹介します。
若手社員の育成課題
若手社員の人材育成における課題には
・育成側の時間が確保できない ・育成側の指導能力がない ・若手社員に成長意欲がない |
などが挙げられます。
人材育成は、育成者側の時間を確保できるよう、重要性について社内理解を深めなければなりません。育成対象者である若手社員に対しては、仕事へのモチベーション向上を促すことが重要です。目標設定やキャリアプランなどを設定し、自分自身をマネジメントする重要性を伝えるようにしましょう。そのうえで育成側は、人材育成のノウハウを習得し、自身の言動が若手社員(育成対象者)のモチベーションに影響することを念頭において、教育や指導にあたるようにしましょう。
若手社員の育成計画例
若手社員の育成計画の一例をご紹介します。
入社直後:社会人としてのマナー研修 配属後:部署や職種に関する総合的な研修 半年後:個人のレベルや育成効果に応じた研修 |
若手社員の育成は、タイミングによって行うべき育成内容が異なります。
入社直後は、ビジネスや業務を理解するためのより広い範囲を対象にした総合的な研修を行います。入社半年以降は、個人のレベルや意向などを加味しながら、より専門的な研修を実施する育成計画がおすすめです。
中堅社員の人材育成
中堅社員の育成について、課題や育成計画の例についてご紹介します。
中堅社員の育成課題
中堅社員の人材育成課題としては
・より広範囲な知識や専門スキルが足りない ・マネジメント能力(経験)がない |
などが挙げられます。
中堅社員は今後会社の未来を担う存在でもあるため、中堅社員の人材育成は重要です。中堅社員が会社の中心として活躍するためには、より広い範囲の業務知識や専門的で高度なスキルが必要です。外部研修や講座受講を通して、研鑽(けんさん)を深められる環境や体制を整備しましょう。
また、中堅社員が若手社員の指導や教育にあたるためにも、マネジメント経験を積むことが大切です。部下を持たせたり、プロジェクトリーダーやメンターなど責任ある役職やポジションを任せるのも効果的でしょう。
中堅社員の育成計画例
中堅社員の育成では、管理職として活躍するための人材育成計画を立てましょう。
マネジメント経験 | マネジメント研修を実施したうえで部下をつける |
---|---|
責任あるポジション | プロジェクトリーダーや人材育成におけるメンターに任命 |
専門的な知識やスキル | 外部研修や講座などを受講 |
必要なスキルと手法をリサーチためには、マネジメントだけでなく業務上の知識やスキルも必要です。スキルマップを活用したうえで、知識やスキルが十分でない場合には、スキルアップも視野に入れて計画しましょう。
会社の未来を担うという意味においては、より多くの現場を経験するために配置転換を行うのも有効かもしれません。しかし、いずれにしても中堅社員の場合は、多くの業務を抱えている場合もあり、業務量への配慮や調整も必要です。人事担当者や部署責任者は、社内理解や協力を得られるようにしておきましょう。
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人材育成を成功させるポイント
人材育成を成功させるために重要なポイントについてご紹介します。
目的を明確化して社内理解を得る
人材育成を行う目的を明確にしましょう。人材育成の目的を明確にしなければ、社内理解は得られません。まずは自社の課題を抽出したうえで、人材育成に取り組むのが、会社の成長や経営目標の達成につながる点を共有することが大切です。
育成対象者の主体性
人材育成では、育成対象者本人のモチベーションや成長意欲が特に大切です。育成対象者が主体性を持って挑戦するためにも、業務における一部の権限を与えたり、研修内容を実践する機会を提供しましょう。
そして、育成対象者のチャレンジを尊重することだけでなく、結果的に失敗してしまった場合も過度に責めることのないよう、育成者側や周囲の理解も深めておきましょう。
長期的な育成計画を立てる
人材育成は、短期的に完了するものではありません。対象者の階層や育成内容によっても異なりますが、常に次のステップに向けた人材育成を意識します。そのため、人材育成計画は、長期的な視野で立てるように意識しましょう。
教育側の育成も同時に行う
人材育成は、育成対象者の育成だけでなく、教育側の育成も重要といえます。教育する側の言動が対象者のモチベーションに影響したり、教育側の育成ノウハウや質によって人材育成の成果に差が出るためです。そのため、人材育成計画では教育側の育成にも注力できるよう、意識しましょう。
人材情報を活用し、個別に対応する
企業側から「こうあってほしい」と期待するばかりでは、従業員の自発的な成長意欲は育ちにくいでしょう。把握した従業員の現状やスキルを分析し、本人に必要な育成方法を取り入れましょう。ときには本人の意見を吸い上げて、育成プログラムを組めるような環境づくりも大切です。
研修などで学んだことに対して振り返りや実践の機会を設けることで、より定着と成長が加速する可能性があります。従業員自身にも成長の実感が生まれやすくなるでしょう。
煩雑な人材情報を把握・管理する
人材育成は、今いる従業員の人材情報を可視化して活用することで、より効率的に進められるでしょう。
誰がどんなスキルを持ち、どの業務をどこまでの範囲でどのように担っているか、部署、年次、チーム体制や生産性、課題などを把握する必要があります。それらの情報をもとに育てたい人材、つまり目指す姿とのギャップを明確にすれば、おのずと自社にとって適切な人材育成の方法が見えてくるかもしれません。
人材情報を可視化するには、システムツールの活用がより効率的です。
人材育成にはタレントマネジメントシステム
人材育成では、企業の課題を解決するために育成したい人材像やスキルを明確にすることが大切です。しかし、育成したい人材像を明確にできても、すべての従業員を対象に人材育成を行うことは時間と手間がかかるでしょう。
そこで活用したいのが、タレントマネジメントシステムにおける従業員データ。あらかじめ収集した企業の従業員に関する情報をクラウド上で一元管理することで、すぐに確認ができます。タレントマネジメントシステムの人材データを活用すれば、誰にどんな育成が必要か、検討するのに役立ちます。
タレントマネジメントシステムなら『スマカン』
『スマカン』は、人材データの一元管理や可視化を中心に、人材育成や人材配置、納得感のある人事評価など、戦略的人事の実行をサポートするタレントマネジメントシステムです。
人材育成の対象者を選定する際にも、従業員の持つスキルや経験、特性などを把握したうえで最適な選定に役立てられるでしょう。
『スマカン』は、多くの官公庁や大学法人、さまざまな規模の民間企業への導入実績を誇ります。業種や業態を問わず幅広い企業や公的機関で、人事業務の効率化や人材情報の一元管理、データ分析から組織強化につなげられるでしょう。
目的に応じて欲しい機能だけを選べる料金プランでご利用いただけますので、多機能過ぎて使いこなせないといった無駄はありません。
スマカンでは、サービス紹介資料はもちろん、人事労務のノウハウに関する資料を無料でダウンロードいただけます。また、30日間の無料トライアルもご提供していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
人材育成は、会社の成長や経営目標の達成にもかかわる重要な人事施策といえます。しかし実際には、人材育成にあてる時間が確保できていなかったり、人材育成が適切に行えていなかったりする場合が多いかもしれません。
まずは、人材育成の重要性を会社全体で理解したうえで、通常業務と並行して取り組める体制を整えるといいでしょう。そのうえで、当記事でご紹介した、人材育成の計画や階層別の進め方、成功させるためのポイントなどを参考にしていただければ幸いです。
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